「雨ニモマケズ」 宮澤賢治   チャイコフスキー
バァイオリン 協奏曲
 

      

 
雨ニモマケズ

雨にもまけず 風にもまけず 雪にも夏の暑さにもまけぬ
 
欲はなく 決して怒らず いつもしずかにわらっている
 
一日に玄米四合と 味噌と少しの野菜をたべ
 
あらゆることを じぶんをかんじょうに入れずに
よくみききしわかり
そしてわすれず
 
野原の松の林の蔭の 小さな萓ぶきの小屋にいて
 
東に病気のこどもあれば
行って看病してやり
 
西につかれた母あれば 行ってその稲の束を負い
 
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
 
北にけんかやそしょうがあれば
つまらないからやめろといい
 
ひでりのときはなみだをながし
さむさのなつはオロオロあるき
 
みんなにデクノボーとよばれ
 
ほめられもせず くにもされず
そういうものに わたしはなりたい  
 

賢治は1933年に世を去った。37歳だった。